中世記録史料の世界 その1 


中世前期の主な日記(解説リンク・参考文献もあります)

書  名 記主 年紀 ひ と こ と
為房卿記 藤原為房 1070-1114 翻刻のことについてよく尋ねられますが私は関わっていません。
後二条師通記 藤原師通 1083-1099 忠実の子どものころの記事が出てきます。忠実の幼名は牛丸です。
中右記 藤原宗忠 1086-1138 古記録入門におすすめの日記。増補史料大成も結構出来がいい。
長秋記 源 師時 1087-1136 「横山党」なんていう言葉も出てきます。
殿暦 藤原忠実 1098-1118 宗忠に仕事させておいて、また物忌か?
永昌記 藤原為隆 1099-1129 承安本・文安本を底本にした翻刻を誰かしませんか?
兵範記 平 信範 1131-1184 京都大学附属図書館のHPで『兵範記』自筆本の画像を公開中。
台記 藤原頼長 1136-1155 頭が良すぎると、こうなっちゃうのね。
山槐記 藤原忠親 1150-1194 あまりに逸文が多く、未だ全体像がつかめません。
顕広王記 顕広王 1161-1178 活字本は抄出です。ぜひ歴博の自筆本をご覧下さい。ちょっと読みにくいけど。
玉葉 藤原兼実 1164-1205 歴博に全文データベースがあります。近々CD−ROM化されるとか。
愚昧記 藤原実房 1166-1195 余りおもしろい日記ではありませんが、是非とも翻刻して欲しい日記です。
吉記 藤原経房 1166-1198 新訂本を準備中。遂に古写本を発見しました。1巻のみですが、とんでもないシロモンです。紙背文書もありますので、いずれご紹介します。
明月記 藤原定家 1180-1235 雑誌『明月記研究』が刊行されています。買って上げて下さい。
三長記 藤原長兼 1191-1211 増補史料大成に入っていない記事多し。
平戸記 平 経高 1196-1246 六波羅探題に天狗が出現したなんて言う記事も。
猪隈関白記 藤原家実 1197-1235 藤原基房が故実家として大きな存在であったことがわかります。
玉蘂 藤原道家 1209-1242 九条家の連中は筆まめです。
岡屋関白記 藤原兼経 1222-1251 同じ摂関家でも近衛流の日記はあっさりしています。
民経記 藤原経光 1226-1270 史料編纂所の尾上さんが苦労しています。編纂中のところは細切ればかり。
葉黄記 藤原定嗣 1230-1249 未刊個所には「たった一夜の過ちで・・・」なんていう記事もあります。
経俊卿記 藤原経俊 1237-1276 歴博田中本の中に自筆が1巻あります。修理代には眼が飛び出ました。
深心院関白記 藤原基平 1255-1268 広橋本の中に何故摂関家の自筆日記が混じっているのか興味深い。
吉続記 藤原経長 1267-1302 余り良い本はありませんが、田中本は自筆清書本かもしれない善本です。
勘仲記 藤原兼仲 1274-1301 文永11年暦記を『歴博研究報告』70に翻刻しています。
公衡公記 藤原公衡 1279-1315 学習院大学史料館寄託本の中から永仁6年7月の記事が見つかりました。
実躬卿記 藤原実躬 1283-1301 亀山上皇の所へ行って賭事ばかりやっている実躬ちゃんです。
親玄僧正日記 親玄 1292-1294 鎌倉末期の鎌倉の情勢を伝える貴重な日記です。
花園天皇日記 花園天皇 1310-1332 やっぱり公家の日記とどこか雰囲気が違います。

『国史大辞典』(吉川弘文館)所収「記録目録」(皆川完一氏作成)を参考にしましたが、
その後の研究や私見により年紀に変更を加えた部分は色を変えました