藤原兼実の日記『玉葉』は平安末〜鎌倉初期の最重要史料である。木曾義仲の滅亡、一の谷合戦、源頼朝との交渉、後鳥羽天皇の即位式・大嘗会、春日宮曼荼羅、和歌判起請などの記事を有する元暦元年(一一八四)記は、歴史研究のみならず、軍記・和歌などの文学研究、美術史研究などの多分野で利用されてきた。本書の「元暦元年記註釈」は、九条家本を底本として先行刊本の誤りを正した【本文】、古辞書の読みや国語学の成果を取り入れた【書き下し】、平易な【口語訳】、事項・語句の解説にとどまらず、関連史料や先行研究を博捜し、記主の語法・文体などを踏まえ、その筆録意識や写本の書写意識のレベルまで掘り下げた解釈を示す詳細な【註釈】によって、古記録の史料読解を新次元へと導く。また、記主の履歴や家族関係、『玉葉』及び九条家本元暦元年記の書誌的事項、元暦元年記の概要、文献目録からなる「解説」、各種索引を付し、検索の工夫を凝らした。
口絵
解説
はじめに
一、藤原兼実とその周辺
(1)父母・兄弟姉
(2)妻妾・子女
二、『玉葉』について
三、九条家本『玉葉』
四、元暦元年の『玉葉』と兼実
おわりに
藤原兼実関係略系図
関連京都図
『玉葉』関係文献目録
元暦元年記註釈
凡例
引用史料出典・略称一覧
あとがき
索引
元暦元年記人名索引
元暦元年記地名・寺社・邸宅名索引
註釈語句索引
研究者名索引